きのこの雑学・きのこ驚きの秘密
アンズタケ


 アンズタケと言えばヨーロッパを代表する人気きのこで、ヤマドリタケ(ポルチーニ)やアミガサタケ(モリーユ)と並ぶヨーロッパ三大食用きのこのひとつです。アンズタケ属を代表する種で、鮮やかな黄色をした特有の香りと傘の縁部の不規則な波打ちや脈絡のあるシワ状のヒダが特徴で、初夏から秋の初めにかけてアジアやヨーロッパなどのマツやモミなどの針葉樹や広葉樹との混交林に世界中広く発生します。学名はCantharellus cibariusで、カンタレルスはフランス語で「アンズタケ」をキバリウスは「食べられる」を意味し、マッシュルームなどの栽培きのこを除けば世界的に最も多く食されている野生きのこです。フランスでは「ジロール」や「シャントレル」と呼ばれ、アプリコット(アンズ)の香りがする身近で採れるきのこであることから、シーズンには家庭料理には欠かせない食材だと言われています。高級なトリュフとは異なり庶民的なきのことして広く親しまれています。「アンズ」の香りがするほぼ世界中で採取可能なきのこであるため、洋の東西を問わず、特有の香りに因んだ名前(和名はアンズの香りがすることから命名)が付けられています。マツタケやトリュフと異なり、どうやらアンズタケの香りの評価だけは世界共通のようです。しかし、残念ながら日本では大量に収穫できるきのこであるにもかかわらず、一部のマニアを除きほとんど食用に供されることはありません。日本のきのこ料理の定番である「鍋物」や「汁物」などの味噌や醤油の日本固有の味付けに合わないきのこであることが最大の理由だと思われます。アンズタケのみならずヨーロッパの三大きのこは、このような理由から、日本ではまったく人気がないと言えます。しかし、近年のイタリア料理ブームで「ポルチーニ」と言う名前の知名度が高まったことで、アンズタケの洋名である「ジロール」も西洋料理の普及に伴い、知名度が高まりつつあるように思われます。アンズタケは菌根菌であることから人工栽培は難しいのですが、特に味に癖もなく日本でもたくさん収穫できるきのこ(日本のアンズタケはヨーロッパに比べ小型で香りが薄い)ですので、パスタ料理やシチューなどの洋風料理の具材としてもっともっと利用を勧めたいものです。
 ところで、現在、東京電力の福島原子力発電所が震災の影響による爆発事故を起こしたことで、放射能汚染が問題となっています。アンズタケに代表される「菌根菌」に属するグループのきのこ類は放射性物質を体内に取り込むことが知られています。事の発端は、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の影響でアンズタケが放射性セシウムを生体濃縮していることが判明したことから、輸入禁止となってしまった経緯があります。この事故を契機にきのこの放射能濃縮がにわかに注目されるようになりました。放射性セシウムは化学的性質がカリウムに似ていることから、カリウム吸収率の高いアンズタケなどのきのこ類がセシウムを体内に取り込んだ結果、放射能汚染される結果となってしまったのです。きのこのこのような性質を逆に利用して、放射能で汚染された土壌を浄化しようと言う「バイオレメディエーション」の研究も行われるようになってきており、きのこには、まだまだ我々の知らない不思議な力が秘められているようです。
 今回の福島原発事故では、様々な食品が放射能汚染されたことが報道されていますが、やはりきのこも例外ではありません。チェルノブイリ事故以来すべてのきのこが放射能を濃縮すると思われがちですが、それは大きな間違いです。きのこビジネスにかかわる一人として、風評被害を招かないためにも正確に事実を伝えたいと思います。チェルノブイリで問題となったのは、同じきのこでもアンズタケなどの「菌根菌」と呼ばれるきのこであって、ナラタケなどの「木材腐朽菌」からは、ほとんど検出されていなかったのです。日本で人工栽培されているシイタケやナメコなどのきのこはナラタケと同じすべて「木材腐朽菌」で、しかもほとんど施設内で栽培(一部が原木による野外露地栽培)されていますので、安全性に関しては特に問題ありません。今後とも、放射能汚染を受けていない原材料を使用して施設内で栽培されたきのこ(木材腐朽菌)においては、安全上取り立てて問題となることはありませんので、これまで通りに安心して利用することができるのです。原木露地栽培の一部のシイタケで放射性セシウムの濃度が基準値(500Bq/kg)を上回る数値が報告されましたが、これは他の野菜類同様、外部被爆の影響によるものであり、同じ原木栽培のシイタケであってもハウスなどの施設内で生産されたきのこに関しては、細心の注意を払って栽培されていますので、放射能が問題となることはありません。万全を期すためには、栽培方法をしっかりと見極めることが肝要なのです。低線量被爆の将来への影響についてはこれまで経験がないだけに専門家の間でも見解の分かれるところですが、放射能に対する「正しい知識」を身につけ、必要以上に恐れることなく、くれぐれも風評に惑わされないようにしたいものです。

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