きのこの雑学・きのこ驚きの秘密
きのこの形


 2011年3月11日の東日本大震災に伴う東京電力福島第1原子力発電所の事故以来、食品に対する放射能汚染が問題となっています。特にきのこ類は他の野菜類に比較して放射性核種を吸収し易い生理特性を有していることから、セシウム含有量の高い食材として栽培品を含めたきのこ類全般の消費が低迷しており、きのこ産業界に深刻な影響を与えています。きのこ産業は昭和40年代後半からはオガコを使用した「えのきたけ」や「なめこ」などの菌床栽培が本格化し、現在では年間46万t、生産額で2,035億円(2013年)と林業産出額のほぼ50%を占める産業にまで躍進してきました。しかし、福島原発事故以来、きのこ生産量の主要県である東北地方の栽培きのこ類は風評被害等の影響で販売低迷が続いており、きのこ専業農家の経営に深刻な影響を与え兼ねない状況となっています。このような状況を打開するため、ナラやクヌギなどの森林に自生する原木を使用するしいたけ栽培、あるいはこれら広葉樹やスギなどの針葉樹のオガコを使用する「えのきたけ」や「なめこ」などの菌床栽培においては、低汚染の原材料を調達、または原木の洗浄や除染材を使用するなどして、国の定めた基準(100Bq/Kg)をはるかに下回るより安全なきのこの生産を心掛け、消費者の不安解消に努めているのです。そのため、スーパーなどで販売されている人工栽培のきのこ類は、安心して食用に供することができると言えます。
 一方、自然界においては、きのこの種類によってまだまだ基準を上回る野生きのこが多く確認されており、出荷制限がいまだ解消されていない状況にあります。特にカリウム(K)を多く含むきのこにおいては、同族のセシウム(Cs)と間違って体内に取り込んでしまうことから、放射能の濃度が高くなる傾向にあります(図1)。また、同じきのこであっても発生する環境によっても含有濃度が異なることから、なかなか一律の出荷制限の解除は難しい状況です。これまでに調査された一般的な傾向としては、チチタケ(チリメンチチタケ)やチャナメツムタケ、アミタケ、コウタケと言ったきのこは放射能濃度が高い傾向にあると言われています。放射性セシウムは地表から5cm以内の深さに留まっていると言われていますので、地表表面の浅い場所や落葉などの腐植層の厚い場所に菌糸を蔓延させて発生するきのこは、放射能濃度が高いと考えられます。
 震災後、被災地での除染作業は順調に進んでいますが、人里から離れた里山や森林の除染は手付かずの状態と言えます。自然界においては、降雨により落葉から土壌に浸透した放射能は植物の根から吸収されるようになります。樹木に吸収(経根吸収)されたセシウムは樹幹を通って葉に移動し、落葉となって再び地上に舞い降り、土中に浸透して再び根から吸収されるという生物循環を繰り返すのです(図2)。よって、事故後の森の中の放射性セシウムは、自然任せの状態では半減期を迎えるまで動きながらその環境に留まっており、決して無くなることはないのです。このような放射能の循環状態において、きのこ達は地球環境を守るべく森林内のセシウムを積極的に体内に取り込み、環境の浄化を図ろうとするのです。まさに「森の掃除屋さん」としての本能を発揮しているのですが、子実体中に蓄えられたセシウムはきのこを取り除かない限り、再び地中に戻ってしまうことになります。森林の除染のためには、発生したきのこを何らかの方法で取り除くことで可能となるのですが、なかなか容易なことではありません。せっかくきのこ達が環境浄化のために努力してくれている訳ですので、何とかその努力に応えるための手段を我々人類は考える必要があるのかもしれません。



(図1)元素の周期表(セシウム)
セシウム(Cs)はカリウム(K)と同族の元素であることから、カリウムと間違ってきのこは体内に取り込んでしまう。
(図2)森林に沈着した放射性セシウムの循環
樹冠や土壌表面の落葉のセシウムは、降雨により土壌有機物層へ移動。さらに下の土壌へ移動することで植物により経根吸収される。植物へ吸収後、樹冠を経て再び土壌へ移動するというように放射性セシウムは森の中で動きながらと留まっている。





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