株式会社キノックス

榾化促進のための管理ポイント(原木栽培)

 榾化率を高めた健全榾木を作るための管理ポイントとして、植菌の終了した原木(植菌原木)の管理方法について説明する。しいたけ菌糸の生理特性面からすると、伸長最適温度は、25℃前後である。そのため、樹皮下で温度が2℃位低くなる(直射の照射は逆に高くなる)ことを考慮し、榾場温度は榾木の高さで28℃位とやや高めの場所を選ぶことが理想である。良質な榾木(健全榾木)に仕上げるための最大のポイントは、榾場の場所の選定であると言っても過言ではない。特に、裸地伏せ管理の場合は、場所の選定が極めて重要で、積雪の多い地域においては、林内(杉林は不適)よりも温度の確保ができる人工榾場での管理が重要となる。

 

(人工榾場)

 植菌した原木の仮伏せから本伏せ管理に移行する場所で、直射日光が当たらないように、天然榾場に準じた環境作りを心掛ける。

●庇陰材

ダイオシェード(遮光率85%)等の透水性の良いものを使用し、高さは2m位で、通風に留意し、西日の照射にも注意する。

●灌水設備

スプリンクラー等で、定期的な散水管理ができるような設備とする(乾/湿の湿度較差を付けるためには、必須な設備)。 本伏せ後に、夕方3時間程度散水を実施しながら管理する。

●本伏せ時期

地域にもよるが、6月中旬~下旬(梅雨入り前後)頃に移行する。


(伏せ込み方法)

 木口が直接地面と接触しないように、井桁積み管理が基本となる。植菌木の通風等を考慮し、井桁の中間の植菌木は3本(全体で5本)とし、ブロックなどの台(枕)の上に1mほどの高さに積上げる。高く積み上げ過ぎると上下の環境差が大きくなるため、1m以内の高さにすることが重要である。井桁同士の間隔にも配慮し、榾場の風通しを考慮して全体を配置する。
 また、定期的な散水を実施することから、地面に水が溜まらないように排水に注意する。毎年同じ場所を使用するため、榾木が直接地面と接触しないように、床には砕石やプラスチック製パレットなどを敷設することが理想である。
 地形や環境により伏せ込み形態は異なるが、菌糸伸長に必要な温度・湿度・通風などの条件が平均化し、常時環境湿度が高くなることのないような状況で、榾木からの水抜けが可能な構造的工夫が重要となる。

(本伏せ管理方法)

 しいたけ菌糸が伸長し易い環境作り、すなわち、通風、温湿度、庇陰に注意しながらの管理を心掛ける。原木から芽が出た場合には、必ず取り除き(生木植菌の原木に多い)、風通しを良くして原木からの水分発散を促進させるようにする。梅雨期から夏季にかけては、しいたけ菌糸が最も繁殖し易い時期なので、特にこの時期の散水による榾木からの水抜き管理は、榾化を促進させる意味で重要となる。
 井桁積みの上下で環境が異なるため、こまめな積み替え(天地返し)が必要で、天地返しは井桁の上下並びに榾木の表裏を反転するように積み替えを行う。天地返しの回数が多いほど榾木からの水抜けが促進されるようになり、水が抜けることで内部に酸素が供給されるようになり、菌糸伸長が旺盛となる。

※人工榾場においては、灌水設備が重要で、日々の定期的な散水管理により、植菌木の表面の乾燥と湿潤の繰り返しの管理(新陳代謝の促進)を心掛けることで、原木内の水分を抜いて菌糸を内部へ順調に蔓延させることが可能となる。ただし、樹皮が常に湿潤状態となるような過度の散水は、菌糸蔓延を阻害するだけでなく、害菌付着の要因となることから、必ず樹皮が乾いていることを確認してから散水を行い、「乾/湿の湿度較差」を大きく付けて管理することが肝要である。

(菌糸伸長検査)

榾木内部の菌糸伸長状況を調べる検査で、菌糸の蔓延状況を確認してその後の管理に役立てるようにする。具体的には、剝皮した表面の伸長だけでなく、榾木を切断して植菌部を縦割りにし、木質部への菌糸の食い込み状況を確認する。榾木断面の菌糸の内部への蔓延状況は、下図のような3つのパターンとなる。

【逆三角形型】
・標準的な菌糸伸長パターン。
・表面の菌糸繁殖面積が広いので、害菌侵入の割合も少ない。


逆三角形型

【三角形型】
・原木が生か過乾燥の場合に見られる菌糸伸長パターン。
・生木の場合は、菌糸は生きた細胞に繁殖できないため、表面の伸長が遅れる。
・過乾燥の場合は、材表層部水分が不足状態で、菌糸が繁殖できない。
・適正な含水率にしないと、材表面に害菌が繁殖し易くなる。

三角形型

【長方形型】
・前二者の中間タイプの菌糸伸長パターン。
・三角形のものが表層部の含水率が適度となり、あるいは、生木の細胞が死んで表層部に菌糸が伸びてきた状態であれば、榾木管理の効果が表れたと言える。

長方形型

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