なめこの自然栽培・原木栽培法(長木)
【なめこ】原木なめこは、秋の味覚として古くから賞味されてきました。今でこそ栽培は減少し、店頭にならぶほとんどが菌床なめこですが、深山の新鮮な環境で育ったなめこは、品質、持味等の点で菌床なめこの及ぶ所ではありません。原木栽培は、発生年限が長く省資源的であり、また失敗も少ない等のメリットが多く、今後とも継続して栽培したいものです。 ◆なめこの詳しい情報◆
品種
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発生温度
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特長
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販売品目
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N109号(早生)
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8~13℃
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10月上旬~11月中旬 |
生、加工用
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N108号(中生)
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6~10℃
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10月上旬~12月上旬 |
加工用にも最適
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その他のなめこの品種の特性に関しては、こちらを御覧ください。
1、原木の種類
ブナ、トチ、イタヤ、カエデ、ハンノキ、ホオノキ、クルミ、サクラ等がよく、一般広葉樹であれば、ほとんど栽培できます。
2、伐採と玉切り
秋、紅葉の頃から、春、新芽が出る頃までに伐採します。なめこは、木口面からも良く発生するので、玉切りの長さは一定の必要はありません(長さ1~2m、太さ10~25cm位が管理上適当)。また伐根を利用するのも一考かと思われます。
3、接種時期
秋に伐採した原木は、降雪前に接種を済ませ(秋植え)、冬から早春に伐採したものは五月頃までに接種を終了するようにします(春植え)。接種が遅れて原木の乾燥がすすむと、種駒の活着が悪くなり、害菌侵入の原因にもなるので早めに接種しましょう。
※穿孔用具は、ドリル、穿孔器を使用します。
接種配置図(長さ1mの場合)
※接種する種駒数(穿孔数)は、原木の太さや長さによって決まります。
1本当りの接種数の目安:原木の太さ(cm)×4(出来るだけ列数を多くすること)
【伐根の場合】
伐根は翌春の五月頃か、一夏経過した秋頃、萌芽のないのを確認して接種します。
接種方法及び数は、前記に準じますが、多めの方が無難です。
尚、伐根は、乾燥し易いので、接種後、下枝やササ等で必ず日覆いをしましょう。
4、仮伏せ
接種した種駒が完全に活着するまで仮伏せをします。長木や伐根は別として、薪積み(高さ50cm位)、地伏せ等にし、カヤ、ササ等で囲い、種駒が発菌し易いような湿度条件にします。
5、本伏せ
【伏込み場の選定】
本栽培の伏込み場は、一般に榾木作りと発生を同一場所で行うことが多いので選定が重要です。
やや通風があり、湿度が幾分多めの、水はけの良い、比較的明るい場所が理想です。
(低地…北~北東の傾斜地で雑木林、針葉樹林。
奥地…南面の傾斜地を用い、大木樹林は避けます。)
※日光の全く差し込まないじめじめした所は、菌糸の伸長が遅れるばかりでなく、雑菌に侵され易いので注意しましょう。
【伏込み方法】
梅雨に入ったら、必ず本伏せを行います。
伏込み方法は、直接地伏せにするのが一般的です。
湿度がやや多めと思われるところは、一方を片枕地伏せとし、榾木間隔は、その太さにもよりますが、10~15cm程度とします。
6、榾場の管理
平坦な温暖地では、害菌の侵入を受けやすいので、雑草の刈払いや、天地返しをして通風をはかり、榾木がムレないようにします。天地返し(表裏反転)は菌糸の繁殖を均一にする目的で、秋までに1~2回行います。
なお榾木自体の重みや、落葉の堆積等で榾木が徐々に、土中に埋もれることもあるので、発生期前に榾起します。この作業は、7月末までに行います。
7、発生
なめこの発生は、秋、気温が16℃以下になると、極早生種から発生しはじめ、徐々に早生種、中生種と発生して、5℃以下になる頃終了します。植菌後、初秋に種駒の周囲には、少々発生が見られますが、本格発生は2夏経過してからです。3~5年目が最盛期で、その後漸減して、榾木の太さにもよりますが、通常8~9年で寿命が終わります。
8、収穫
なめこの収穫のポイントは、傘の開かない、つぼみのうちに採取することですが、一ヶ所からまとまって発生する傾向があるので、傘の直径が10~15mm前後のものが多い時に株のまま採取します。
発生期間中、榾木を動かしたり移動したりすると、発生が止まることがあるので、注意が必要です。