株式会社キノックス

きのこ驚きの秘密・その2

きのこ本体の姿

きのこは植物(独立栄養)のような葉緑素を持たず、動物(従属栄養)のように移動行動をとらないことから、植物でも動物でもない第3の生物群である「菌類」に属し、地球上の90%を占める植物バイオマスの分解により生態系の物質循環に分解者(還元者)として大きく貢献している生物です。菌類としてのきのこの本体は、ミクロ(1/1,000mm)単位の細長い細胞が1列につながってできた菌糸が、枝分かれ状に細胞分裂を繰り返しながら形成された多数の菌糸の集合体です。きのこの本体である菌糸体は、枯れ木や土の中などを生活圏としてひっそりと生息していることから、通常目にする機会はありません。生活史のある時期に温度や湿度などの刺激を受けることで、樹上や地上に特有な形状をした「きのこ」を形成するようになります。子実体は植物にたとえれば「花」に相当し、子孫繁殖のための胞子を生産して飛散させるための生殖器官です。わずか数ミクロンの太さの菌糸からなる菌類が築き上げる高さ10cm程度のきのこは人間からすれば小さな存在ですが、ミクロの生物である菌類にとっては、その1万倍以上もの大きさとなる巨大な構造物で、人間世界のサイズに換算すると6,000階建てのビルに相当する、とてつもなく大きな胞子飛散のための構造物を築き上げていることになるのです。


きのこ本体の姿の図