株式会社キノックス

きのこの豆知識・その5

注目の薬用きのこ カバノアナタケ

カバノアナタケはタバコウロコタケ科、サビアナタケ属のきのこで、アジア、ロシアなどの亜寒帯や冷帯などの寒冷地に分布し、シラカンバやダケカンバ等のカバノキ類の生立木樹幹に寄生する白色腐朽菌で、石炭状の黒色をした塊状の大形「菌核」を形成するきのこです。菌核は多年生であることから、いつでも目にすることはできますが、子実体は背着生の茶褐色きのこで、肉質は硬いコルク質で傘を形成せずに寄主の樹皮下に張り付くように発生し、しかも短命であることから、なかなか見つけることはできません。本菌は、雪害や風害などを受けた個所、あるいは樹幹の傷や枯れ枝部分から胞子が侵入し、数年から数十年以上を要して樹皮表面に黒色塊状の菌核を形成することから、別名「カンバの癌腫菌(木のガンの意味)」とも呼ばれております。
このきのこの菌核は、硬くて食用にはなりませんが、昔からガンに効果のある民間薬としてロシアのアレクサンドロ地方でお茶として飲用されていたことから、旧ソ連邦の時代より消化器系のガンに対する薬効研究が盛んに行なわれてきました。
 また、ロシアのノーベル文学賞作家アレキサンドル・ソルジェニツィン氏の「ガン病棟」(1968年)の著書の中で、白樺のガンと題した項目に白樺に生えた「チャーガ」と呼ばれるきのこを服用しているとガンが自然治癒することがあると記されたことから、カバノアナタケ(チャーガ)はその存在を一躍世界中に知らしめることとなったのです。このような背景をもとに、ロシア国外でもカバノアナタケに関する研究が盛んに行なわれるようになった結果、消化器系以外にも抗腫瘍活性や血糖降下作用、あるいは抗HIV作用やその他の生理活性作用を有することが次々と解明され、大変有望な機能性きのこのひとつとして、近年急激に脚光を浴びるようになっております。


カバノアナタケの菌核画像
カバノアナタケの菌核

 

石炭状の菌核の表面画像
石炭状の菌核の表面