きのこの雑学・しいたけの雑学 生産流通について 今から400年近く前に、炭焼き用の原木から偶然にきのこが発生しているのを発見したことがきっかけで栽培が始まったとされる「しいたけ」の原木栽培は、100年以上も続いていた鉈目栽培方式に代わって、昭和17年に純粋培養の「種駒」が開発されたことで、飛躍的な発展を遂げるようになりました。林野庁の統計資料によれば、昭和48年の「乾しいたけ」の生産量は9,000tだったのですが、その後の8年間で15,000tと過去最高の生産量を達成するようになったのです。並行して海外への輸出も盛んに行われるようになり、昭和59年には過去最高を誇る4,000tの輸出実績を上げ、外貨獲得のための有力輸出農産物となったのです。しかし、原木での「乾しいたけ」栽培は肝心の榾化が天候に左右されるために発生がなかなか安定せず、経営が不安定であることと重い榾木を扱うために労働環境が厳しいことから後継者の育成が難しく、高齢化問題と共に施設の老朽化や消費者ニーズの変化などが重なり、生産量は急減してしまうのです。現在では「乾しいたけ」の生産量は3,500t前後で低迷していますが、水戻しに手間がかかることで消費者から敬遠されているだけに、国内での消費がなかなか伸び悩みの状態となっています。そのため、過去のような生産量の回復はなかなか困難な状況になっていると言えます。因みに、「乾しいたけ」の都道府県別生産量の上位3県は、大分県、宮崎県、愛媛県となっています。「生しいたけ」の生産についても原木栽培での生産量は「乾しいたけ」同様、生産量が減少の一途を辿っている状況にあります。昭和63年に過去最高となる83,000t台を記録するのですが、安定性の欠如や重い榾木の取り扱いが後継者に嫌われ、現在では原木での栽培は「乾しいたけ」の生産が主体となってしまい、「生しいたけ」の生産量のほぼ90%は作業性の容易な菌床栽培が占めるようになっています。菌床しいたけの生産量が統計資料に掲載されるようになったのは、昭和62年の4,000tが最初ですが、その後、急速に生産量を拡大するようになりました。結果、近年の菌床しいたけの生産量は65,000t前後で推移しています。しかし、消費者嗜好の変化に伴い、「ぶなしめじ」やエリンギなど「しいたけ」と調理のレパートリーを競合する新種のきのこが生産されるようになってきていることから、「しいたけ」がかつての消費量を取り戻すには難しい状況になっていると言えます。因みに、都道府県別の主要生産県は、「原木しいたけ」が群馬県、静岡県、鹿児島県で、「菌床しいたけ」は、徳島県、北海道、岩手県の3県が上位を占めています。(表1)乾しいたけ生産量の年次別推移(単位:t) 昭和48 50 55 60 63 平成元 5 6 7 9,043 11,356 13,579 12,065 11,888 11,066 9,299 8,312 8,070 8 9 10 11 12 13 14 15 16 6,886 5,786 5,552 5,582 5,236 4,964 4,449 4,108 4,088 17 18 19 20 21 22 23 24 25 4,091 3,861 3,566 3,867 3,597 3,516 3,696 3,705 3,499 (表2)生しいたけ生産量の年次別推移(単位:t) 昭和48 50 55 60 63 平成元 5 6 7 51,000 58,560 79,855 74,706 82,678 82,395 77,394 74,294 74,495 8 9 10 11 12 13 14 15 16 75,157 74,782 74,217 70,511 67,224 66,128 64,442 65,363 66,204 17 18 19 20 21 22 23 24 25 65,186 66,346 67,155 70,342 75,016 77,079 71,254 66,476 67,945 ◆ きのこの雑学 目次ページへ戻る ◆
生産流通について
今から400年近く前に、炭焼き用の原木から偶然にきのこが発生しているのを発見したことがきっかけで栽培が始まったとされる「しいたけ」の原木栽培は、100年以上も続いていた鉈目栽培方式に代わって、昭和17年に純粋培養の「種駒」が開発されたことで、飛躍的な発展を遂げるようになりました。林野庁の統計資料によれば、昭和48年の「乾しいたけ」の生産量は9,000tだったのですが、その後の8年間で15,000tと過去最高の生産量を達成するようになったのです。並行して海外への輸出も盛んに行われるようになり、昭和59年には過去最高を誇る4,000tの輸出実績を上げ、外貨獲得のための有力輸出農産物となったのです。しかし、原木での「乾しいたけ」栽培は肝心の榾化が天候に左右されるために発生がなかなか安定せず、経営が不安定であることと重い榾木を扱うために労働環境が厳しいことから後継者の育成が難しく、高齢化問題と共に施設の老朽化や消費者ニーズの変化などが重なり、生産量は急減してしまうのです。現在では「乾しいたけ」の生産量は3,500t前後で低迷していますが、水戻しに手間がかかることで消費者から敬遠されているだけに、国内での消費がなかなか伸び悩みの状態となっています。そのため、過去のような生産量の回復はなかなか困難な状況になっていると言えます。因みに、「乾しいたけ」の都道府県別生産量の上位3県は、大分県、宮崎県、愛媛県となっています。
「生しいたけ」の生産についても原木栽培での生産量は「乾しいたけ」同様、生産量が減少の一途を辿っている状況にあります。昭和63年に過去最高となる83,000t台を記録するのですが、安定性の欠如や重い榾木の取り扱いが後継者に嫌われ、現在では原木での栽培は「乾しいたけ」の生産が主体となってしまい、「生しいたけ」の生産量のほぼ90%は作業性の容易な菌床栽培が占めるようになっています。菌床しいたけの生産量が統計資料に掲載されるようになったのは、昭和62年の4,000tが最初ですが、その後、急速に生産量を拡大するようになりました。結果、近年の菌床しいたけの生産量は65,000t前後で推移しています。しかし、消費者嗜好の変化に伴い、「ぶなしめじ」やエリンギなど「しいたけ」と調理のレパートリーを競合する新種のきのこが生産されるようになってきていることから、「しいたけ」がかつての消費量を取り戻すには難しい状況になっていると言えます。因みに、都道府県別の主要生産県は、「原木しいたけ」が群馬県、静岡県、鹿児島県で、「菌床しいたけ」は、徳島県、北海道、岩手県の3県が上位を占めています。
(表1)乾しいたけ生産量の年次別推移(単位:t)
昭和48
50
55
60
63
平成元
5
6
7
9,043
11,356
13,579
12,065
11,888
11,066
9,299
8,312
8,070
8
9
10
11
12
13
14
15
16
6,886
5,786
5,552
5,582
5,236
4,964
4,449
4,108
4,088
17
18
19
20
21
22
23
24
25
4,091
3,861
3,566
3,867
3,597
3,516
3,696
3,705
3,499
(表2)生しいたけ生産量の年次別推移(単位:t)
50
55
60
63
平成元
5
6
7
51,000
58,560
79,855
74,706
82,678
82,395
77,394
74,294
74,495
8
9
10
11
12
13
14
15
16
75,157
74,782
74,217
70,511
67,224
66,128
64,442
65,363
66,204
17
18
19
20
21
22
23
24
25
65,186
66,346
67,155
70,342
75,016
77,079
71,254
66,476
67,945