株式会社キノックス

きのこの豆知識・その3

きのこの数

地球上の菌類(カビ、きのこ、酵母、粘菌等を含む)の種数については様々な説があり、イギリスのホークスワース(1991年)によれば推定で約150万種類の菌類が生息しているとのことです。150万種と言う種数は、昆虫に次ぐ大きなもので、菌類は地球上の生物群の中では2番目に大きな「界」を形成するグループなのです。推定種数150万とは言ってもすべてがわかっている訳ではなく、既知種数は75,000種(カークら2001年)ほどで、推定種数の数%にしか過ぎないのです。地球上の菌類の中で「きのこ」の種数に限定した場合には、担子菌類で約30,000種、子のう菌類で約32,000種の合計62,000種類(Dictionary cf the Fungi 9th Edition)を超える種が存在すると言われています。
 日本における菌類の種数については、20世紀の初頭から本格的な研究が行われるようになり、日本産菌類目録(白井光太郎:1905年)においては1,200種、三宅勉による改訂版(1917年)では3,500種、さらには原摂祐による編集版(1954年)では7,300種と報告されています。その後も菌類リストの作成のための研究が行われており、最も新しい報告によれば、勝本謙らの研究成果により日本の菌類の既知種数は約13,000種(2004年)とされています。日本に生息する菌類の内、きのこの生息数は5,000~6,000種と言われており、その中で名前の付いているものが約2,000種(北陸のきのこ図鑑で1,403種)で、名前の付いているきのこ全体の約10%の200種程度が食用きのこです。さらにその中でも、特に好んで食用に供されるきのこの数は、わずか70種程度だと言われていますので、野生のきのこを採取する場合には、せめてこの70種の特徴をしっかりと覚えるようにしたいものです。わが国においては海外に比べきのこの研究者が少なく分類調査が遅れていることから、今後の研究が進むにつれ新種のきのこの数が増えてくるものと思われます。


菌類の種数推定根拠(ホークスワーク論文)
1、 地球上の植物(高等植物)の数 → 270,000種
2、 菌:植物は6:1の関係(英国データ) → 270,000×6=1,620,000種
未調査の植物種を加味 → 1,650,000種
4、 アナモルフ(無性世代)26.5%とそのテレオモルフ(有性世代)1/3を加味(同一種の二重記載) → 145,750種
推定菌類数 1,650,000-145,750=1,504,800 ≒ 150万種