きのこの雑学・きのこ驚きの秘密
冬虫夏草


 冬虫夏草(とうちゅうかそう)の名前の由来は、「冬は虫となりよく働き、夏に至れば草となる」との想像から中国で名付けられた名前で、虫に寄生して生長するきのこ類の総称です。日本でも一般的に使われている名前ですが、特に1990年に北京で開催されたアジア陸上大会での「馬軍団」の活躍で一躍有名となったきのこで、新聞や雑誌などで内分泌調整作用や抗酸化作用、更には免疫力亢進作用等を有する漢方薬として衆目を集めるようになりました。昆虫やクモ類の生体内に寄生し、内生菌核から棍棒〜球形状の有柄の子座を形成し、分類学的には、麦角菌科の冬虫夏草属に属する子のう菌類のきのこであります。世界では450種程見つかっておりますが、その内、日本で約350種が発見されており、まさに日本は、冬虫夏草菌類の宝庫だと言えます。冬虫夏草菌類には発生する昆虫の種類により色々の名前がありますが、幻のきのこと呼ばれ、貴重な漢方薬材料や高級食品として中国で珍重されている本家本元の「冬虫夏草」は、本来、中国5,000年の歴史の中から秘薬として選ばれた冬虫夏草菌類の一種である、学名が「コルディセプス・シネンシス」と呼ばれる特定の「トウチュウカソウ」を指すものなのであり、決して冬虫夏草菌類全体を意味するものではないのです。本来の「トウチュウカソウ」は、チベット高原やヒマラヤ山脈の標高3,500〜4,000mの高山帯で、コウモリガの幼虫に寄生して発生する大変貴重なきのこで、そう簡単に採取できる代物ではありません。
 一般的な冬虫夏草菌類は様々な昆虫の幼虫や成虫に感染してきのこを発生させますが、きのこの種類によって寄生する昆虫の種類が特定されており、寄主特異性が極めて強いのが特徴です。代表的なものとしては、アリから発生するアリタケ、蝉の幼虫に発生するセミタケ、カメムシの成虫に発生するカメムシタケ、更にはトンボ類の成虫に発生するヤンマタケなど極めて身近な昆虫類に発生するものが多く、決して蝉からアリタケが発生するなどと言ったことはないのです。不思議な生態特性を有するきのこであるため、比較的アマチュア研究者による発見が多く、今後ともまだまだ新しい冬虫夏草菌類が発見される可能性は高いものと思われます。
 このように、冬虫夏草菌類はまだまだ謎に包まれたきのこで、寄主の認識や感染のメカニズム、或いは昆虫に「止め」を指す必殺テクニックなど、ほとんど解明されておりません。ヤンマタケに感染したヤンマは、羽根を広げて細い枝に止まったまま死んでいたり、アリタケに感染したアリが、今にも歩き出しそうな姿で死んでいたりする様子からしても、菌類の虫体内での繁殖と昆虫の死、更にはきのこの発生と言ったこれら3者の時間的関係がまったく判っていません。菌に侵された昆虫の「死」が、きのこの発生する前なのか、それとも後なのか、意外と単純なことがまだ判ってはいないのです。冬虫夏草菌類に感染した多くの昆虫類の異様な死に様からして、謎の多いきのこだと言えます。


セミタケ画像
セミタケ



ヤンマタケ画像
ヤンマタケ(山と渓谷社 日本のきのこより)





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