株式会社キノックス

きのこ驚きの秘密・その1

幽霊茸

幽霊茸とは、一体どのようなきのこなのでしょうか?
 不気味な名前のきのこですが、実はきのこではなく、ギンリョウソウと呼ばれる植物の別名なのです。
 「ギンリョウソウ」は、全く葉緑素を持たずに木陰で白色、あるいは茶色でひっそりと咲いていますので、確かに一見すると「きのこ」のオバケ(幽霊)のように見えますが、実はきのこではなく、イチヤクソウ科に属する植物です。葉緑素を持たないため、光合成は行わずに他の生物に寄生することで養分を獲得しています。具体的には、樹木の根に共生する「菌根菌」であるベニタケの仲間のきのこに寄生している「居候植物」なのです。つまり、樹木の根に共生する「菌根菌」に第3者的にさらに寄生(三者共生)することで、樹木の光合成の養分を間接的に吸収しながら生活しています。三者共生は、菌根性樹木の根に共生する菌根菌(きのこ)へ、さらにギンリョウソウやシャクジョウソウなどの無葉緑植物が寄生することで、3者が上手く生活できるようになっているのです。

三者共生
 ※ギンリョウソウは、コナラの光合成産物である糖などの有機物を
  ベニタケを経由して吸収することで生活している。

 似たような「三者共生」の関係には、オニノヤガラやツチアケビなどのラン科植物の養分吸収がありますが、これらの無葉緑植物の宿主はベニタケのような菌根性きのこではなく、木材腐朽菌である「「ナラタケ」に寄生しています。しかし、ナラタケは枯れた樹木に発生するきのこですので、樹木との共生関係はありません。それゆえ、ナラタケにとっては、オニノヤガラは完全に居候的存在だと言えます。このように森の中の無葉緑植物は、葉緑体を失った時点で生きて行くための手段として本能的に「寄生」の道を見出したと言われています。