株式会社キノックス

きのこの雑学・なめこの雑学

生産流通について

「なめこ」の生産量は、25,000t前後と栽培の歴史が古い割には生産量が伸び悩んでいるきのこです。「ぶなしめじ」や「まいたけ」、さらには最も栽培の歴史の新しいエリンギにも追い抜かれてしまい、現在の生産量の順位は第6位の座にまで後退してしまいました。これまでの生産量の推移は、下記の表1の通りで、昭和43年頃から栽培が本格的に始まり、49年の12,800tをピークに全国各地で栽培されるようになりました。しかし、栽培技術が安定していなかったことから、連作障害が各地で多発するようになり、10,000t台にまで一旦は生産量が減少してしまうのです。その後の生産技術の改良により、53年にはようやく元の生産量までに回復し、平成10年の27,200tに達するまで順調に伸びてきました。

 しかし、過去最高量に達したことで生産過剰気味となって価格が急落し、kg当たりの価格が600円を割り込むようになってしまったのです。価格が安くなったことで再び25,000t台まで減少した形でしばらく生産量は安定するのですが、その後も価格下落に歯止めはかからず、とうとう400円の大台を割り込んでしまうのです。価格の安値が続く中、スケールメリットを生かした大型生産施設が建設されるようになったことで、21年頃から再び生産量は増加に転じるようになり、22年には過去最高となる27,300tを記録するのです。しかし、翌年の東京電力福島第一原子力発電所の原発事故を契機に、放射能の風評被害や価格安の影響で再び減少に転じた結果、現在では25,000t台で生産量、価格ともに安定するようになっています。消費がなかなか伸びない原因は、水洗いした状態で販売されている唯一のきのこであるため、他のきのこ類に比べて料理のレパートリーが限られてしまうことに原因があるように思われます。消費拡大を図るためにはこれまでの出荷スタイルを根本的に見直し、株採りや大粒なめこなど商品アイテムの拡大を図る必要があると言えます。

(表1)なめこ生産量の年次別推移

年度 昭和53 54 55 56 57 58 59 60
生産量 13,776 16,513 16,776 16,348 16,499 18,141 19,577 19,793

 

61 62 63 平成元年 2 3 4 5 6
20,079 21,054 21,049 21,125 22,083 21,738 22,104 22,614 22,638

 

7 8 9 10 11 12 13 14 15
22,858 22,823 24,522 27,193 25,771 24,942 23,775 24,818 25,068

 

16 17 18 19 20 21 22 23 24
25,815 24,801 25,615 25,813 25,945 26,138 27,261 25,426 25,816